9月1日は防災の日です。1923年9月1日は関東大震災が起こった日で、それに由来しています。そこで、本日は、気象災害に焦点を当てます。最近、テレビ・ラジオで「(警戒レベル)レベル5」「特別警報」など聞きなれない言葉を聞くことがあると思います。それは、気象災害に対するソフト面の対策が進んでいる証拠ですが、一方で課題も多く残っています。
警戒レベルについて
警戒レベルについてごく簡単に説明しておきます。
警戒レベルはレベル1からレベル5があります。
レベル5は大雨特別警報などが相当し、既に災害が発生している可能性があります。レベル5の情報が出た場合は、命を守る行動をとってください。
レベル4は土砂災害警戒情報や避難指示・勧告などが相当します。速やかに避難を開始してください。
レベル3は避難準備情報(高齢者等避難)などが相当します。避難に時間がかかる方は避難を開始してください。
詳しく勉強されたい方は下記の気象庁ホームページまで。
参考webサイト:気象庁_防災気象情報と警戒レベルの対応について(外部リンク)
ちなみに、私は、常日頃からNHKラジオ第一放送を聞いています。ラジオ第一放送は、気象警報や避難・氾濫等の情報が出た場合、速やかに放送されます。常日頃から聞いていると、こういった情報の知識を必然的に覚えることができるのでお勧めです。
正常性バイアスをなくせ
上記で説明したが、警戒レベル4の情報が出たら、全員避難しなければならない。しかし、実際に避難する人はかなり少ない。要因はいくつかあるだろうが、その一つに「正常性バイアス」が考えられる。正常性バイアスは、緊急時・異常事態の際に「自分は大丈夫だろう」と平静を保とうとする心理のことである。
避難の情報は特定地域に
以前まで、気象庁の特別警報は都道府県単位で発令されていた。しかし、都道府県単位では対象地域が広すぎて、被害があまり出ない地域も含まれることが否ない。それでは、対象地域に住む人に緊急性が伝わらず、正常性バイアスの心理状態になってしまう。そのため、気象庁は、都道府県単位での発令をやめ、自治体ごとに改めた。竜巻注意情報についても、現在は都道府県単位では発表されていない。
一方、避難準備情報(高齢者等避難)や避難勧告、避難指示は自治体(市町村)が出す情報だが、自治体全域(市内全域など)に避難の情報が出されることが少なくない。全域が大きな河川の流域に位置している自治体なら、自治体全域に避難の情報を出すことは理解できる。しかし、自治体内でもやはり、比較的危険な場所と比較的安全な場所があるだろう。例えば、土砂災害(特別)警戒区域や浸水想定区域は比較的危険な場所、避難所近くの住宅は比較的安全な場所になるだろう。それにもかかわらず、自治体全域に同様の避難の情報を出すことは不合理であろう。なぜなら、住民に緊急性がしっかりと伝わらないからだ。もしものために、自治体全域に避難の情報を出したいのなら、比較的危険な場所に対しては避難指示、比較的安全な場所には避難勧告や避難準備情報というように、使い分けをすべきである。
避難所の環境改善を
避難所というと、暑い(寒い)中で雑魚寝をする場所である。さらに、人が多く、プライバシーもない場所である。こうした場所に誰が行きたいと思うだろうか。
行政は、避難所の環境改善の努力をすべきである。今後、地球温暖化のより、気象災害が増えることも懸念される。避難所の環境改善は、急務であろう。
※もちろん、福祉避難所など設備がしっかりしたところもある。
発想の転換を
避難勧告や避難指示など避難の情報が出されて避難をしたが、被害が出ない場合もあるかもしれない。そうした場合、「避難をして無駄だった」とは思わずに、「被害が出なくてよかった」と思うようにすべきである。難しいことかもしれないが、「災害大国日本ではいつどこで災害が発生するかわからない」ということを頭に入れておくと、このような発想の転換はできるだろう。
情報が増えても変わらない
特別警報や警戒レベルといった情報が最近増えましたが、正直言って、住民の意識は変わっていないように思える。むしろ、情報が多すぎて、困惑する住民もいるのではないか。緊急性を伝える情報を増やしても、住民の避難につながらず被害が出るようであれば、気象災害に対するソフト対策は道半ばと言わざるを得ない。
ともあれ、避難をせねばならない時は、テレビ・ラジオや防災行政無線、エリアメールで知らせてくれます。その際、「自分は大丈夫」とは思わずに、避難の情報に正直に従うのが一番良い。自宅付近が危険で避難所に避難できない場合は、崖から離れたできるだけ高い場所に避難をすべきである。これも、立派な避難行動である。