南草津駅は、今や、滋賀県で2番目に乗降客数の多い駅になり、新快速も停車をするようになりました。
新快速停車を機に、周辺には多くのマンションが建設され、いかにも、活気がある場所という感じがいたします。
そんな南草津駅の西口からすぐの場所に、分水工という農業用施設があることはご存じでしょうか。
その分水工の正式名称は、「第1段円形分水工」です。駅の自由通路からは、分水工の様子をしっかりと確認することができました。
また、私は、先日、この分水工の説明会・見学会に参加をしてきましたので、間近から分水工を見てきました。
「第1段円形分水工」の役割や、草津の農業用水について、詳しく説明をいたします。
第1段円形分水工
南草津駅の西口近くには、なんと、農業用施設があります。それが、南草津駅西口からすぐの場所にございます。
南草津駅西口の自由通路からも見ることができますが、こちらは、円筒分水工です。
農業用水を一定の比率で正確に分配するために用いられています。
中央から湧き出された農業用水を外側に越流させて、各水路に水を一定の比率で正確に分配しているのです。
ここ、南草津駅西口近く、東山道記念公園内にあるこの分水工は、「第1段円型分水工」という名称がついております。.
直径は19mほど。滋賀県で最大規模の円筒分水工です。
農業にとって、水は不可欠です。
そのため、かつては、水論、水争いが各地で発生し、草津も例外ではありませんでした。
とりわけ、近代の草津における代表的な水論については、『草津市史 第2巻』にも、まとめられております。
そうした先人たちの水論があったので、農業用水の配分については、公正、公平になされるべきという考えのもと、分水工がつくられているのです。
なぜ、こんなところに分水工がある?
南草津駅周辺は、現在、多くのマンションが林立しております。
しかしながら、マンションが建設されたのは最近のこと、南草津駅が開業をしたのも1994年と平成に入ってからのことでした。
昔、南草津駅周辺は、農地が広がっていたのです。
こちらは、1968年(昭和43年)5月に撮影されました、現在、南草津と呼んでいる地域周辺の空中写真です。
今とは全く違う様子を見られます。一帯は、農地・水田で、ところどころに、集落が見られます。
ただ、現在の南草津駅がある場所は、ほぼ正確に特定できます。その所以は、先ほど、紹介しました、第1段円形分水工です。
第1段円形分水工は、1965年(昭和40年)にできました。第1段円型分水工は、南草津駅の西口すぐの場所にありますから、現在の南草津駅の場所については、容易に特定が可能です。
第1段円型分水工という農業用施設が、都市化の進んだ、南草津駅西口近くにあることに対して、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、少し前まで、南草津駅周辺は、農地でしたので、何ら不思議なことではないのです。
「第1段円形分水工」の役割と草津用水
「第1段円形分水工」について詳しく知るために、東山道記念公園で開催されていたイベントで実施されていた、説明会・見学会に参加をしてきました。
「第1段円形分水工」の役割についても、しっかりと教えていただきました。以下の内容が、教えていただいた内容です。
「第1段円型分水工」に来る水は、全て、琵琶湖から取水されております。草津市の矢橋で揚水して、その水を、第1段円型分水工へと送水します。
そして、それを、第1段円形分水工で、北・常盤方面、東・野路・山手方向、南・南笠方面と3方向に水を分配しています。
その後、各配管を通じて、草津市各地の農地へと、琵琶湖の水を農業用水として供給しているのです。
第1段円形分水工は、矢橋で取水した水を最初に分配する、極めて重要な施設となっているのです。
かつて、草津市では、琵琶湖から近い地域を除いて、地下水や川の水を農業用水として使ってきました。
とくに、南草津周辺は、小規模で、かつ、天井川のような川しかありませんでしたので、水を得るのが非常に難しかったのです。
そのため、ため池に、水をためて、その水を農業用水として活用されていたのです。
ただし、「第1段円形分水工」ができて、琵琶湖の水を農業用水として利用する逆水かんがいの仕組みが整った、1965年以降は、各地のため池が開発などのために、埋め立てられていきました。
第1段円形分水工の直径は19m。大迫力でした。分水工は、水土里ネット草津用水(草津用水土地改良区)の方に、ご案内いただきました。ありがとうございました。
アクセス
名称:第1段円形分水工
場所:滋賀県草津市南草津1丁目1
アクセス:南草津駅から徒歩0分
備考:通常、分水工を間近からは見学できません。また、夜間や農閑期は、運転されていません。
第2段円形分水工
「第2段円形分水工」は、「第1段円形分水工」から野路・山手方面への配管をたどると到着します。ロクハ公園の近くに位置します。
私は、「第1段円形分水工」のある場所から「第2段円形分水工」までは自転車で行きましたが、その道のりは、のぼり坂でした。
それ故、「第2段円形分水工」へと向かう水は、加圧をして、送水をしているということになります。
「第2段円形分水工」では、「第1段円形分水工」で分配した水を、さらに、ここで、分配しています。
第1段円形分水工よりは小規模ではありましたが、道路からもしっかりと見ることができました。
アクセス
名称:第2段円形分水工
場所: 滋賀県草津市追分南5丁目20−21
アクセス:南草津駅から徒歩40分
備考:夜間や農閑期は、運転されていません。
最後に
分水工、とりわけ、こうした円筒分水工については、ファンが多いようです。私自身も、分水工には、魅力を感じています。
分水工は、やはり、農業地帯にあることが多いので、アクセスがやや不便なことが多いのですが、草津の「第1段円形分水工」については、新快速も停車する南草津駅前にあります。
非常にアクセスをしやすい場所にありますので、ぜひ、ご訪問いただければと思います。
なお、滋賀県は、円筒分水工が非常に多い地域です。今後も、折を見て、撮影をすることができたらと思っております。