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琵琶湖の漁業は厳しい状況だ-統計を見て考える

2019年10月9日

あゆと文字

当ブログ管理人のはしです。私は滋賀県に在住しており、琵琶湖の魚も大好きです。ということで、今回は琵琶湖の漁業に注目したいと思います。実は、琵琶湖における漁獲量は年々減少しています。かなり危機的状況なのです…。

琵琶湖における年毎の漁獲量の推移をみてわかること

平成以降の琵琶湖の漁獲量の推移
(出典)平成元年~29年度滋賀県統計書 漁業、魚種別漁獲量(琵琶湖)をもとに作成

上のグラフは、琵琶湖における年毎の漁獲量の推移を示しています。1989年(平成元年)から2017年の漁獲量を示していますが、年々減少していることがわかります。これは1989年以前についても同じような傾向がみられ、年々減少し続けています。

原因としてまず考えられるのが、外来魚や水草の大繁殖です。ともに生物多様性に大きな影響を及ぼしています。また、沿岸部の開発も考えられます。ヨシの群集がなくなり、琵琶湖の魚の産卵場所が減っているといったことが起こっているとみられます。加えて、高度経済成長期における、琵琶湖の富栄養化の影響が今もみられるという考えもできるかもしれません。1970年代以降、琵琶湖は徐々にきれいになっていますが、その反動が今もなおみられるということを意味します。

琵琶湖の漁業従事者・就業者数をみてわかること

琵琶湖における漁業従事者・就業者数の推移

琵琶湖の漁業従事者・就業者数のグラフです。上で示した漁獲量の減少に伴い、琵琶湖の漁業従事者・就業者も減少していることがわかります。漁業をする人にとって、今後、漁獲量が減る中、生計をたてることは極めて困難だと思われます。そのため、若い人の参入が少ないとみられます。

また、漁業関係者の高齢化も大きな問題です。

以下、グラフの注釈(漁業従事者・漁業就業者の違い)を引用にて示します。

1,漁業就業者:漁業世帯の世帯員のうち、満 15 歳以上で過去1年間に自営漁業または漁業雇われの湖上作業に年間 30 日以上従事した者。
2,漁業従事者:過去1年間に湖上作業に従事した者(臨時に従事した者は除く)。湖上作業とは、漁労・漁船航行・網の張立て・網の取替え・網の打ち回し・魚介類の直接採捕・小割養殖施設の見回り・収穫等漁業関係の湖上労働をいう。


滋賀県農政水産部水産課(2019)『平成30年度滋賀の水産』から引用

コアユの漁獲量に注目する

琵琶湖業種別(こあゆ・その他)漁獲量及び総漁獲量に占めるこあゆの割合
(出典)各年度滋賀県統計書 漁業、魚種別漁獲量(琵琶湖)をもとに作成

上のグラフのうち積み立て棒グラフの部分で、赤の部分がこあゆの漁獲量を、青の部分がその他の漁獲量を示しています。また、緑の折れ線グラフは、琵琶湖の総漁獲量に占めるこあゆの割合を表しています。

平成前後になると、こあゆは琵琶湖の漁獲量において大きな割合を占めていることが上のグラフを見てわかります。今や琵琶湖においてこあゆは重要な漁業資源となっています。

しかし、2017年こあゆの漁獲量に注目すると279トンと2016年と比べて200トン弱減っています。こあゆだけが琵琶湖において比較的漁獲量を確保できていただけに、漁業関係者に衝撃・打撃を与えました。滋賀県内でも大きく報道されました。

実際、漁業に出ても、漁獲量を確保できず、燃料費だけで赤字になるケースもあるということです。今後、こあゆの漁獲量が確保できなければ、琵琶湖における漁業は一層厳しい状況になると言わざるを得ません。

琵琶湖の魚を食べよう

食生活の変化による魚の需要が減少しているということはよく聞きます。私の周りでは、滋賀県民であるにもかかわらず琵琶湖の魚をあまり食べない人が少なくありません。確かに琵琶湖における漁獲量は減っていますが、滋賀県民が琵琶湖の魚を食べることが漁師さんの応援につながると思います。滋賀県内のスーパーでも琵琶湖の魚は結構見ます。手に取ってみるのもよいのではないでしょうか。

ちなみに、私は、琵琶湖の魚が大好きです。コアユ・ワカサギ・モロコは高頻度で食べます(おすそ分けをしてもらうため)。

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