関西が誇る新快速。京都-大阪間は、何と、29分で結んでいます。
最高時速が130km/hと、通常の電車では考えられないスピードを出します。あたかも、特急列車と思ってしまうくらいです。
当サイトは、滋賀県の情報を発信しておりますが、その滋賀県においても新快速は走っています。
しかし、滋賀県では新快速の停車駅が多いのです。なぜなのでしょうか。
当記事では、最初に滋賀県内の新快速停車駅を見、次に歴史的に見ても滋賀県における新快速停車駅がほとんど変わっていないことを確認し、最後になぜ多いのかを考察します。
滋賀県における新快速の停車駅一覧
滋賀県内における、JR在来線路線を画像で示しました。
新快速は、草津線を除く全ての路線を走っています(東海道線は、JR東海が運行する新快速です)。
それでは、新快速の停車駅を見ていきましょう。琵琶湖線経由と湖西線経由にわけて、お伝えいたします。
琵琶湖線経由
では、最初に、琵琶湖線・北陸線における新快速停車駅を列挙していきます。
なお、琵琶湖線経由の新快速には、現在、草津行き・野洲行き・米原行き・長浜行き・近江塩津行き・敦賀行きがあります。
なお、びわ湖大花火大会の際は、膳所駅(大津と石山の間)にも停車しますので、ご注意ください。
参考記事:「びわ湖大花火大会の日は、膳所駅に新快速が臨時停車します」(内部リンク)
- 京都駅(京都府)
- 山科駅(京都府)
- 大津駅
(膳所駅通過) - 石山駅
(瀬田駅通過) - 南草津駅
- 草津駅
(栗東駅通過) - 守山駅
- 野洲駅
(篠原駅通過) - 近江八幡駅
(安土駅通過) - 能登川駅
(稲枝駅通過)
(河瀬駅通過)
(南彦根駅通過) - 彦根駅
- 米原駅(以降、終点まで各駅に停車するが、一応記しておく)
- 坂田駅
- 田村駅
- 長浜駅
- 虎姫駅
- 河毛駅
- 高月駅
- 木ノ本駅
- 余呉駅
- 近江塩津駅(湖西線と合流)
- 新疋田駅(福井県)
- 敦賀駅(福井県)
湖西線経由
次に、湖西線経由の新快速です。一部、上と重なる駅もありますが、記します。なお、湖西線の新快速は、現在、近江今津行きと敦賀行きがあります。
- 京都駅(京都府)
- 山科駅(京都府、湖西線と琵琶湖線の分岐駅)
- 大津京駅
(唐崎駅通過) - 比叡山坂本駅
(おごと温泉駅通過) - 堅田駅
(小野駅通過)
(和邇駅通過)
(蓬莱駅通過)
(志賀駅通過)
(比良駅通過) - 近江舞子駅(以降、終点まで各駅に停車するが、一応記しておく)
- 北小松駅
- 近江高島駅
- 安曇川駅
- 新旭駅
- 近江今津駅
- 近江中庄駅
- マキノ駅
- 永原駅
- 近江塩津駅(琵琶湖線と合流)
- 新疋田駅(福井県)
- 敦賀駅(福井県)
いかがでしょうか。
ちなみに、京都府における新快速停車駅は山科駅と京都駅の2駅、大阪府における新快速停車駅は高槻駅と新大阪駅と大阪駅の3駅です。
人口密集地でも新快速は多くの駅には停まらないのです(なお、琵琶湖線・湖西線+北陸線は、滋賀県土を縦断しているため走行距離が京都線と比べて明らかに長いことには留意せねばなりませんが)。
JR東海の新快速
JR東海管轄の滋賀県内における東海道線には、主に朝晩を中心に、新快速が走っていますが、米原駅-大垣駅間は各駅停車になります。
したがいまして、滋賀県における東海道本線の米原駅・醒ヶ井駅・近江長岡駅・柏原駅は、もちろん新快速が停車するということになります。
昔からほとんど不変!滋賀県における新快速停車駅
では、滋賀県における新快速の停車駅の変遷を見ていきます。
もしかしたら、以下のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
住宅開発と同時にベッドタウン住民が増えたがために、新快速停車駅が多くなったのでしょう?
こうした疑問、実は誤りです。
新快速の走行区間拡大ということは確かにありましたが、新快速停車駅が増えたという事例は、ほとんどありません。まずは、新快速の歴史を、滋賀県とかかわりがある部分に限定して見ていきましょう。
年月日 | 出来事(オレンジが琵琶湖線経由、水色が湖西線経由) |
---|---|
1970年10月1日 | 新快速の運行開始 |
1971年4月26日 | 新快速の運行区間が草津まで乗り入れるようになる。停車駅は大津と石山(なお、京都府の位置する山科駅は通過していた→1986年11月1日より停車)。 |
1974年7月20日 | 湖西線開業に伴い、堅田まで新快速が乗り入れるようになる。途中の停車駅は、西大津(現大津京)、叡山(現比叡山坂本)で、現在と同じ。なお、休日は、近江今津まで乗り入れていた(ちなみに途中の停車駅は、現在とは少し異なっていた→1989年3月11日廃止)。 |
1986年11月1日 | 新快速が彦根まで乗り入れるようになる。途中の停車駅は、現在と同じパターン(なお、これ以前には、草津-彦根間が普通、草津から新快速といった電車は存在した)。 新快速が近江舞子まで乗り入れるようになった。同時に、湖西線内は各駅停車となった。 |
1988年3月13日 | 新快速が、米原(彦根の次の駅)まで乗り入れるようになる(1989年3月11日より、彦根行き新快速が完全に米原行きに改められる)。 |
1991年9月14日 | 新快速が長浜まで乗り入れるようになる。停車駅は、今と同じく、米原より先は各駅に停車。 |
1996年3月16日 | 新快速が近江今津まで乗り入れるようになる。同時に、途中の停車駅は現在と同じ形となった。 |
2006年10月21日 | 琵琶湖線経由・湖西線経由ともに、新快速が近江塩津・敦賀まで乗り入れるようになる。途中の停車駅は、今と同じ。 |
2011年3月12日 | 新快速が南草津にも停車するようになる。 |
いかがでしょうか。滋賀県における新快速の停車駅は、ほとんど変わっていないことがわかると思います。
違いを指摘するならば、湖西線の停車駅が少し変わっていること、琵琶湖線・南草津駅が停車駅として追加されたことくらいでしょう。
一方で、新快速の運行区間が拡大し続けたという歴史もわかると思います。
なぜ、滋賀県における新快速の停車駅は多いのか
ようやく、本題に入ります。滋賀県において、なぜ、新快速の停車駅が多いのか見ていきましょう。
ここでは、
- 競合他社の存在
- 京阪神では電車の本数が十分に多い
という2つの理由を述べていきます。
競合他社の存在
まず、第一に京阪神には競合他社が存在するということです。
例えば、京都から大阪に行くには、JR以外に、阪急や京阪も利用することができます。
したがって、JRとしては、できるだけ短時間で、京都-大阪間を結びたいわけです。
停車駅を増やしてしまえば、それだけ、時間をロスするということになりますので、停車駅を増やすことは難しいのです。
また、神戸周辺にはJRと並行して阪神電車も走っています。それ故、同様に神戸周辺も新快速の停車駅は最低限になっています。
一方、滋賀県内には競合他社は存在しません(自然独占です)。
京阪や近江鉄道が存在するという反論があるかもしれませんが、競合他社とは異なる存在で、上手くすみ分けを行っているように見えます。
京阪神では電車の本数が十分に多い
京都・大阪・神戸周辺は、列車の本数がかなり多くなっています。
京都線・神戸戦では、滋賀方面から来る新快速・快速だけでなく、多くの普通列車も走っています。それ故、多くの利用者数にも十分に対応できます。
一方、滋賀県内は、例外はありますが、基本的には新快速と普通(京都・大阪・神戸では快速)が走っています。
したがって、新快速の停車駅を減らしてしまうと、住民の利便性に直接的に影響を及ぼします。
とりわけ、米原-敦賀間、近江舞子-敦賀間における駅は、日中は新快速が1時間に1本停車するのみというところがほとんどです。
新快速も、一般的な普通列車と同じく、地域間輸送にも貢献しているわけです。滋賀県北部では、新快速が不可欠な存在なのです。
関西を誇る新快速だが…
関西以外にお住まいの方は、新快速に乗車をすると、そのスピードに驚かれる方が多いようです。京阪神においては、停車駅もかなり少ないです。
このような意味で、新快速は、関西が誇る普通列車ということもできます。
しかし、滋賀県においては、130km/h走行をする箇所はあるかもしれませんが、それなりの停車駅もあります。
滋賀県、とりわけ滋賀県北部における新快速は、地域間輸送の役割も担っています。
滋賀県において、新快速の停車駅が多いことは、決して不思議なことではありません。