滋賀県情報

【成瀬で話題に】「西武大津店」閉店までの軌跡。跡地は大型マンションに!

2019年10月24日

西武大津店閉店時の様子

成瀬は天下を取りにいく』で舞台の1つとなっている、西武大津店。実際に、大津市中心部に存在した百貨店です。

市民に長く親しまれてきましたが、西武大津店は2020年8月31日をもって閉店しました

跡地は長谷工が取得して、大型マンション建設が進んでおります。

滋賀県の県庁所在地である大津市から百貨店が消え去ったのです。現在、滋賀県内に存在する百貨店は、草津駅東口近くにある近鉄百貨店だけとなりました。

私自身も、西武大津店には、何度も行ったことがあります。大津市民にとっても、西武大津店に思い出がある方が多いと思います。

西武大津店閉店間際のお写真を用いながら、西武大津店について紹介いたします。

西武大津店は大津市唯一の百貨店だった

西武大津店

西武大津店は、大津市唯一の百貨店でした。大津市の中心部(におの浜2丁目)に位置していました。開店は1976年6月です。

大津市におの浜は、1960年代に、琵琶湖が埋め立てられて誕生した土地です。かつては、琵琶湖だった場所なのです。

西武大津店(があった場所)の向かいには、Oh!Meがあります。実は、Oh!Meのある建物は、もともと大津パルコでした。

大津パルコは2017年8月末で閉店しましたので、周辺では、パルコに続く大規模小売事業者の撤退となりました。

大津市は百貨店のない県庁所在地となってしまいました。

西武大津店周辺の住民などが百貨店で買い物をしたいときは、草津の近鉄に行くか、京都まで出ねばなりません。

上の写真を見るとよくわかりますが、西武大津店の建物は少し特異な形をしています。有名建築家であった故・菊竹清訓(きくたけきよのり)氏が設計しました。

段丘上のテラスや外階段など珍しいものがあり、素晴らしい建物です。

ちなみに、西武グループの創業者は滋賀県出身です。このような意味で、滋賀県民の私にとって、西武百貨店がなくなることはかなり悲しいです。

閉店の原因は何か

西武大津店

西武大津店の閉店の原因は、売上高(利益)の減少です。

西武大津店の売上高は1993年2月期の371億1700万円がピークで、その後、2019年2月期は99億7200万円になってしまいました。

ピーク時と比べるとかなり減っていることがよくわかります。 セブン&アイ・ホールディングスにとっては、不採算事業で手放さざるを得なかったのでしょう。

では、なぜ、こんなにも売上が減ってしまったのでしょう。

ここでは、

  • インターネット通販の普及
  • 周辺にショッピングモールがオープン

の2点に焦点をあてます。

インターネット通販の普及

まず、インターネット通販が普及してきたことが挙げられるでしょう。

最近は、店頭ではなくネット通販で物品を買うことが多くなっています。

このような状況の中でも、都市部の百貨店では、インバウンドをうまく取り込んでしのいでいますが、地方の百貨店では、インバウンドを取り込めていません。

なぜなら、大津のような地方に外国人観光客はどっと流入してくることはまずないからです(京都止まりです)。

周辺にショッピングモールがオープン

また、周辺にショッピングモールができたことも要因かもしれません。

近江大橋を渡ってすぐのところに、イオンモール草津があります。

イオンモール草津に行ったほうが、一度に多くの種類の物を買えますし、安価な衣料品を売っている店もあるので、若い消費者を中心にイオンモール草津に流れてしまっていると考えられそうです。

また、イオンモール以外にも、郊外型の量販店は、大津市やその周辺でオープンしています。

こうしたショッピングモールのオープンは、西武大津店にも大きな影響を与えたと考えられます。

閉店前の西武を見てきた

西武大津店

西武大津店は2020年8月31日に閉店しました。

混雑を避けるため、その27日前に西武大津店に足を運び、写真も撮影をしてきました。

ただし、店内の撮影は、基本的にNGですので、外観と「あゆみ展」の様子のみ、撮影をしております。

入り口には「サンクスセール」という文字が目立っていました。そして、「44年間のご愛顧ありがとうございました」という文字も各所に記されていました。

店内にも、同じような文字が目立ちました。

本当に、閉店するのだなあとしみじみとしてしまいました。

西武大津店44年間のあゆみ

最上階では、「西武大津店 44年のあゆみ」展が開催されていました。こうした写真を見ていましたら、いかに、大津市の膳所周辺が西武大津店を中心に発展してきたのかがよくわかりました。

西武大津店が、まちづくりにおいて果たしてきた役割は非常に大きかったといってよいでしょう。

その西武大津店の閉店後の様子についてもお伝えいたします。

西武大津店跡地はマンションに【シエリアシティ大津におの浜】

西武大津店跡地
2022年冬撮影

西武大津店の建物や土地は、マンション大手である長谷工コーポレーションに売却されました。

その後、「マンションが建つのではないか」と噂をされましたが、噂の通り、マンションが建設されました。

一方、新たに商業施設をオープンさせるべきとの意見もありました。

新たな商業施設がオープンすると、大津市中心部の空洞化は最低限に抑えられたかと思います。

大津市中心部のブランド力も大幅に下がる可能性は避けられ、引き続き大津市中心部のにぎわいを維持もできたでしょう。

一方で、どのように利益を出していくのかという課題もあります。

百貨店ではうまくいかなかった、ショッピングセンターのような施設(Oh!Me)は近くにある、ではどうするのか・・・?

そのように考えると、西武大津店に新たな商業施設をオープンさせることは、なかなか難しかったのではないかと思います。

西武大津店跡地
西武大津店跡地はマンションに…

西武大津店跡地のマンション(シエリアシティ大津におの浜)は、700戸規模ということで、大型マンションといえるでしょう。

におの浜2丁目に位置しますので、小学校は平野小学校(徒歩数分)、中学校は打出中学校(徒歩30分)に通うことになります。

打出中学校は、上り坂をひたすらのぼっていって通学をすることになります。

近くには、Oh! Meに入っているフレンドマートはマックスバリューがあるので、日常生活に困ることはないでしょう。

個人的に思うこと

西武大津店の跡地がマンションになることについて、個人的に思うことを記して終わります。

西武大津店という商業施設がマンションになるということは、労働や個人消費が生み出されずに大津市外に流出することとなり、地域経済にとって大きなマイナスであると言わざるを得ません。

ただ、人が増えることによる良い側面(メリット)もあるでしょう。マンションになることに変わりはありませんので、そうしたメリットに注目をして、今後の様子を見守りたいと思います。

西武大津店は、長らく大津市民に愛されました。

跡地のマンションに移住を検討されている方は、西武大津店があったということをしっかりと理解をしたうえで、決定していただきたいと思います。

  • この記事を書いた人

未だ定まらざる

滋賀県の地理・地形・土地利用などに関する動画をYouTubeで投稿しております。→チャンネル登録はこちらから

-滋賀県情報