滋賀県の大戸川ダム、果たして必要なのだろうか

図形と文字

今日は、滋賀県でホットな話題を取り上げます。それは、大戸川ダムについてです。大戸川ダムに関する基本的な情報を解説します。また、大戸川ダムに関する論争は何を意味するのか、私の意見も踏まえて検証します。

大戸川とは?大戸川ダムとは?

大戸川の位置を示す地図

大戸川(だいどがわ)は滋賀県甲賀市信楽町多羅尾の高旗山を源に、甲賀市信楽町、大津市南部の上田上などを抜け、最終的に瀬田川に合流します。

かつての話ですが、大戸川流域では、平城京や平安京に近かったため、多くの木が伐採されました。また、大戸川はかねてから、「水七合に砂三合」といわれてきました。 すなわち、大戸川は、流域の田畑に恩恵をもたらす一方で、たびたび氾濫し、水害に苦しめられたということです。

大戸川の水害は昔の話だけではありません。1953年の8月には、大戸川の氾濫などにより、44人が亡くなり、130人が負傷しました。また、同年9月には台風で、堤防が決壊するなど、その後もたびたび大戸川流域では水害に見舞われました。最近の事例に注目してみますと、2013年の台風18号(特別警報初運用、滋賀県にも発令された)では、大戸川が溢れ、被害が出ました。大戸川流域では、台風などが来るたび、避難に関する情報が発令されていることは、多くの大津市民が理解していることでしょう。

このように、大戸川流域ではたびたび水害が発生しています。それ故、大戸川ダム事業(多目的ダム)が計画されました(1978年の実施計画調査着手)。建設が予定されている場所は、上の赤丸付近のところで、大戸川中流付近といえます。

大戸川ダムの沿革

大戸川ダムの歴史を簡単に記しておきます。

1968年予備調査が着手される
1978年実施計画調査が着手される
1989年建設事業が着手される
1998年水没地域に位置する大鳥居集落の移転が完了する
2005年国交省が建設中止の方針を示す
2006年ダム建設反対派の嘉田さんが知事になる
2007年治水専用ダムとして建設する案がでる
2008年大阪、京都、滋賀、三重の4府県が建設反対を表明
2009年計画が凍結される
2014年嘉田路線の継承を訴えた三日月さんが知事になる
2018年三日月さんが再選する(与野党相乗り)
2019年三日月知事が建設を支持する

大戸川ダムは必要なのか

大戸川ダムの建設に対し、推進派と慎重派の主要な主張を紹介します。伏せて、私の意見も記載しておきます。

推進派

大戸川ダムを建設することにより、治水の効果があることは言うまでもない。大戸川流域では、たびたび水害に見舞われてきた。今後は、地球温暖化などの影響により、水害が多発する恐れがある。大戸川流域にお住まいの方の命を守るためには、必要なのである。

また、ダム建設地に位置する大鳥居集落の住民は、住居の移転1998年3月までに済ましている。ダム建設が実現しなければ、何のために移転したのかわからなくなる。

慎重派

大戸川の総事業費は、1080億円である(負担は滋賀が8億円と少なく、京都は129億円、大阪は187億円+国の負担)。滋賀の負担が一番少ないが、今の時代、どこの自治体も財政の状況は厳しい。優先順位を考慮すると、大戸川ダムの建設は急ぐ必要性はゆめゆめない。

代わりに、ダムに頼らない治水対策を進めるべきである。

私の意見

滋賀県の三日月知事は、治水効果に関する3度の勉強会を開いただけで、急に大戸川ダム推進の立場に移行した。少し理解しがたい。

確かに、大戸川ダムを建設することにより、大戸川流域の治水効果が期待でき、必要なのかもしれない。ただ、1080億円という総事業費がかかるのである。ダムの恩恵は下流に及ぶため、滋賀県の負担は8億円だが、京都、大阪の負担は100億円以上である。京都や大阪にとって、財政の状況を考慮すると大戸川ダムの優先度は低いと考えられ、大戸川ダム事業に賛同する可能性は低い。すぐに、大戸川ダムの建設が進むとは到底思えない。一方で、これからは豪雨災害が増えるともいわれている。どうすればよいのだろうか。

まず、急ぐべきは、減災対策をすることである。西日本豪雨では、特別警報や避難に関する情報が出されていたにもかかわらず、多くの方々は「大丈夫だろう」と考えていたという(正常性バイアス)。水害などの緊急時、正常性バイアスに陥らないよう、日々の訓練が大切なのかもしれない。

言うまでもないが、これは、仮に大戸川ダムが建設されたとしても同じことがいえる。一般的に、インフラ整備が進んでいるところでは、より正常性バイアスがはたらきやすい。ダムなどのインフラを過信してはならない。

最後に…

最近は、地球温暖化の影響か、大規模な水害が増えてきているような気がします。この時代、水害はいつどこで発生するかわかりません。ダム建設などのハード面の整備は今後さらに必要となるかもしれません。そのため、大戸川ダムは必要なのかという問いに対する答えは、Yesなのかもしれません。しかし、大戸川ダムは、京都や大阪の負担が大きく、即座に建設されるとは思えません。

それ故、前述しましたが、いわゆるソフト面に目を向ける、例えば、避難の徹底などにより減災の対策を急ぐ必要があります。

この記事をご覧になられた皆さんは、少なからず大戸川ダムの問題について興味がある方だと思います。私たちは、大戸川ダムの議論を行政に任せっぱなしにするのではなく、自分たちで考える、ないしは行政と一緒に議論するということが必要なのではないでしょうか。

参考webサイト
大戸川ダム工事事務所ホームページ(https://www.kkr.mlit.go.jp/daido/index.html)