2019年(令和元年)9月に完成した堅田駅西口広場から、春日山公園・堅田丘陵方面へと西へと真っすぐと続く道路があります。
その道は、都市計画道路3・4・52号堅田駅西口線です。道路法上では、大津市道幹1075号線として管理されています。
実は、この道路なのですが、未成道となっていて、個人的に、10年くらい前からずっと気になっていました。
そこで、せっかくなので今般、実際にその道を歩いたり、調べたりして、疑問が解決しました。
どうやら、1970年代ごろに、住宅地(湖西台)を開発しようという動きがあったものの、結局、開発されないまま今に至ってしまったということが影響しているようです。
その湖西台も、ようやく、開発への動きが見えてきました。詳しく見ていきます。
動画でも解説しています
都市計画道路3・4・52号堅田駅西口線
ひとまず、都市計画道路3・4・52号堅田駅西口線について地図で確認をいたします。
まず、現在までに整備されている区間が、赤線となります。堅田駅西口から湖西道路付近まで、ならびに、伊香立南庄町の国道477号線から南へ少し進んだ場所までです。
一方で、黒線で示したその間の区間、山林となっている場所については、まだ整備されていないわけです。
個人的に、10年前くらいから、堅田から伊香立方面へ江若交通の路線バスで行くことが少なからずあるのですが、路線バスは、伊香立南庄町を経由するので、バスから、いつも、行き止まりとなっているよくわからない道を見てました。
そのため、当時から、これはいったい何なのか思っておりました・・・。調べてみて、ようやく、疑問が解決しました!
都市計画道路3・4・52号が開通しますと、伊香立付近にお住まいの方は、堅田駅へのアクセスが格段にアップします。
現在、伊香立から堅田駅へと行くには、国道477号線を経由しないといけません。
湖西道路より東側の国道に関しては、特に、交通量が多い場所です。最近、片側2車線となりましたが、片側1車線のときは、とにかく混雑がひどい場所でした。
そのため、都市計画道路3・4・52号が開通すると、伊香立から、交通量の多い国道を経由せずに、直接、堅田駅に行くことができるようになるので、伊香立にお住まいの方にとっては、大きなメリットといえます。
都市計画道路3・4・52号は、伊香立南庄町より先、山百合の丘付近を経由して、最終的に、伊香立下在地町が終点となると想定されておりますが、真っ先に整備が求められるのは、上図の黒線の分断区間です。
現時点で開通している区間については、しっかりと歩いてきました。
堅田駅西口~春日山公園付近
まずは、堅田駅西口~春日山公園付近まで、都市計画道路3・4・52号を歩きました。
堅田駅西口付近は、比較的、新しい住宅が多いように感じました。
ただ、道路から西へと少し遠くを望むと、山林のような場所を見ることができます。堅田駅の西側は、真野と呼ばれる地域ですが、真野は、堅田丘陵と呼ばれる丘陵地となっております。
都市計画道路3・4・52号は、まさに、山林の方へと進んでいきます。道路が開通をしていないのは、まさに、山林となっている場所です。
なお、堅田駅西口は、路線バスも発着していて、私が訪問したときは、ちょうど、比叡山頂行きの江若交通の路線バスが出発していきました。比叡山へは、堅田駅から路線バスでも行けますので、ぜひ、ご利用ください。
やはり、丘陵地ということで、少し歩くと、上り坂となってきました。同時に、住宅も減ってきました。
この上り坂を挟んで南北に広がっている公園が、春日山公園です。
春日山公園は、堅田丘陵にある23ヘクタールの公園です。滋賀県が管理をしています。
どんな公園なのか、少しだけ見てきました。丘陵地の地形を活かした遊歩道や古墳、遊具、グラウンドなどがありました。
夏場の訪問だったこともあり、雑草が生い茂っていることが少し気になりましたが、自然豊かな公園でした。
自然観察をされている方にも出会いました。将来的には、スケートボード場が整備される見込みとなっています。
春日山公園を散策した後は、再び、道路へと戻ってきました。
しかしながら、湖西道路より200mほど手前の場所に、「工事関係者以外立入禁止」と書かれた看板がありました。
湖西道路より先は、確かに、整備されていない区間なので、行けないことは想定しておりましたが、それより手前の場所で立入禁止になっているとは想定しておりませんでした。
ということで、仕方がありませんので、ここで、引き返して、今度は、伊香立南庄町の国道477号線へと向かいます。
徒歩で約50分です(湖西道路の方まで行けたら、ショートカットとなり、徒歩40分で行けたのですが…)。
伊香立南庄町
国道477号線を歩いていきますと、伊香立南庄町へと達します。江若交通の南庄道のバス停近くに信号がありますので、その信号を左と行くと、都市計画道路3・4・52号となります。
ちなみに、伊香立は、気象庁の分類では、滋賀県南部ではなく、滋賀県北部となります。一方で、お隣の真野は滋賀県南部です。天気予報を見るときは、ご注意ください。
国道から100mほど進んできますと、何と、バリケードがありました。この先は、立入禁止です。
都市計画道路3・4・52号は、本来、このバリケードの先の方へと進んでいくわけですが、これより先は、整備されておりません。
すなわち、未成道となっているのです。
バリケードの向こう側を見てみましたが、資材置き場のようになっておりました。また、「この道路の開通までもうしばらくお待ちください」と書かれた看板もございました。
さて、この場所から、春日山公園、さらに、堅田駅西口へとつながるはずの都市計画道路3・4・52号は、今後、どうなるのでしょうか。この謎をとくキーポイントが湖西台です。
大津市 湖西台地区
都市計画道路3・4・52号の未開通区間は、主に山林となっている大津市の湖西台地区を通ることとなっています。
湖西台のほとんどは、伊香立南庄町ですが、一部が、真野家田町となっています(2つの大字にまたがっていますので、開発されると、湖西台という地名が誕生するかもしれません)。
湖西台の面積は、95.6ヘクタール。現在は、概ね、山林となっています。
これまでの経過
湖西台は、当初、分譲住宅地として開発する計画がありました。
1972年(昭和47年)に、大林組が湖西台という分譲住宅地を開発することとなり用地の買収を始め、同年に、都市計画道路3・4・52号堅田駅西口線の計画も決定されました。
しかしながら、地権者との交渉の難航や不況などにより、湖西台の開発を断念。
その後、2023年、令和5年、大林組が保有していた湖西台地区の土地が、大津市に無償譲渡されました。
地権者との交渉という点に注目すると、現在も、湖西台地区の一部は、個人や民間企業が有しています(土地全体のうち2割ほど)。
近い将来、いよいよ開発へ
大林組から土地の無償提供を受けた大津市は、現在、湖西台地区の95.6ヘクタールの土地をどのように利用するか検討をしている段階です。
サウンディング型市場調査の実施を経て、その後、土地利用について検討をすることになりますが。
大津市としては、分譲住宅地というよりは、工業用地・産業用地とするのが望ましいのではないかと考えているようです。
というのも、湖西道路の真野インターチェンジもすぐですし、なにせ、滋賀の大動脈・琵琶湖大橋もさほど遠くありません。湖西台が、非常に立地がよい場所なのです。
とはいえ、繰り返しにはなりますが、今後、検討ということになりますので、湖西台が産業用地になることが決まったわけではありませんので、ご注意ください。
都市計画道路の未開通区間の整備も進むか
土地利用の話は、ひとまず置いておいて、いずれにせよ、湖西台地区の開発がなされると、当然ながら、都市計画道路3・4・52号の未開通区間も整備が進んでいくことが想定されます。
湖西台地区の土地利用の検討も始まっておりますので、決して遠い将来の話ではないでしょう。
湖西台に隣接する、伊香立にお住まいの方にとっては、堅田駅へのアクセスの利便性が大幅に向上することが期待されます。
「北部地域の活力の源泉となる可能性」
2017年から2031年における、大津市の都市計画に関する基本的な方針がまとめられている『大津市都市計画マスタープラン』には、湖西台地区について、以下の通り記載されています。
湖西台地区については、北部地域の活力の源泉となる可能性を秘めていることから、その土地利用については、慎重かつ十分な検討を進めます。
また、『大津市都市計画マスタープラン』には、大津市道3・4・52号堅田駅西口線について、着実に整備を進める旨、記載がありました。
湖西台や大津市道3・4・52号について、具体的名称までしっかりと記載がされておりますので、湖西台の開発を進めていこうという大津市の熱意を感じられました。
湖西台は、非常に立地のよい場所であるため、産業用地として活用して企業誘致を進めると、地域活性化にもつながると思われます。
湖西台の開発の計画が出てきて、既に、50年以上経過していますが、地域のにぎわい創出につながる形で開発されることを期待します。