琵琶湖でも津波が発生する可能性があることをご存じでしょうか。実際に、滋賀県は、琵琶湖での津波の可能性について分析・調査をしています。それによりますと、3m以上の津波を予測している個所もあります。一方で、その調査を見ていますと、琵琶湖での津波を起こしうる地震の発生の可能性が低く、また、海での津波とは異なり浸水も限定的であるとされています。あまり心配する必要はないと思いますが、頭の片隅に入れておくべきでしょう。
湖で津波はない!本当?
滋賀県民のわたくし、長らく、琵琶湖は湖だから津波は発生しないと思っていました。こうした県民の方々は、少なくないと思います。しかし、東日本大震災で東北で大津波が発生して以降、「琵琶湖で津波は発生しないのか」という問い合わせが滋賀県県に相次いだとのことです。
そこで、滋賀県は、「湖底断層の変位を仮定した琵琶湖における津波高さの考察」というペーパーを発表し、津波発生の可能性について分析・調査をしました。以下、その考察をもとに、琵琶湖での津波発生可能性について述べます。
参考文献
滋賀県防災危機管理局(2014)「湖底断層の変位を仮定した琵琶湖における津波高さの考察」
3m以上、最大4.9mの津波発生の可能性
先に結論を述べておきます。滋賀県が出した考察によりますと、琵琶湖の沿岸で3m以上、最大4.9mの津波が発生する可能性を指摘しています。
津波の高さを検証するにあたり、複数の湖底断層が大きく動くということを仮定しています。3m以上の津波発生の可能性が指摘されたのは、西岸湖底断層系北部と西岸湖底断層系南部です。西岸湖底断層系南部の一部は、いわゆる、「琵琶湖西岸断層帯」とされています。
西岸湖底断層系北部で、M7.2の地震が発生した際、長浜市沿岸(姉川河口より北側の辺り)で3mを超える津波が到来する可能性があるということです。
西岸湖底断層系南部で、M7.6の地震が発生した際、近江八幡市から彦根市沿岸にかけて3mを超える津波が到来する可能性があるということです。さらに、沖島では最大4.9mの津波が来ると予測されています。
その他、
- 津波の波長が短い(第一波と第二波の間隔は7分程度、東日本大震災のそれは約40分)
- 津波が対岸に達する時間は、5~10分とはやい
というような特徴があるようです。
本来は、予測で用いられたモデルを、こちらで詳しく述べる必要があると思うのですが、正直申し上げて、わたくしは地震学に無知です。モデルについて完全な理解はできなかったので、興味のある方は、当該ペーパーをご覧いただければと思います。
被害は?発生可能性は?
陸地への被害は、海での津波と比べると、相当、限定的になるということです。上述した通り、津波の波長が短いためです。ただ、越水や浸水は、限定的とはいえ発生するとされています。琵琶湖に隣接する住宅も浸水する可能性があります。
では、こうした琵琶湖で津波を伴う地震は発生しうるのでしょうか。発生可能性は、今後300年以内にほぼ0%ということです。わたしたちが生きている間は、あまり心配しなくてよいと思います。
最後に
過去に起きた地震で、琵琶湖沿岸に津波をもたらしたものは、実際にあるという調査があります。少なくとも、私たちが生きている間は、琵琶湖で津波が発生するような地震を心配する必要はないと思います。ただ、琵琶湖でも津波が発生しうるということを頭の片隅に入れて損はないと思います。
津波の有無にかかわらず、大きな地震は滋賀県でも発生する可能性があります。震源が滋賀県ではなくても、滋賀県に強い揺れをもたらす地震が来る可能性があります。ご家庭で地震に対する備えをしっかりとしておく必要があるでしょう。