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滋賀の山田港跡を訪問!こんな所に港があったとは思えぬ!

山田港跡の記念碑

滋賀県草津市山田町にある、山田港跡を見に行ってきました。近代には、琵琶湖を横断するために、非常に賑わった港なのですが、今現在は、その面影は全くもってありませんでした。本当に、こんな場所に港があったのかと思ってしまいました。

山田港とは

今日取り上げるのは、滋賀県の山田港になります。他県にも山田港があるようですが、そちらではないのでご承知おきください。

上に、山田港の場所を示した地図をお示ししました。

この後の展開を理解しやすくするため、あえて、広域的な地図を埋め込んでいます。詳細な場所を確認したい場合は、アップして見てください。では、簡単に山田港の歴史を解説しましょう。

山田港は、近代において、琵琶湖を横断し、対岸の大津(紺屋関)をつなぐために開設された港です。

1872年、杉江善右衛(すぎえぜんえもん)という人物が、山田港を船が航行できるようしっかりと整備しました(山田航路が開通)。最初に、船を運行したのは、大津の谷口嘉助(たにぐちかすけ)という人物です。山田と紺屋関(こんやがせき)を結ぶ船を運行しました。

紺屋関港は、今の大津市民会館あたりの場所にありました。大津港に非常に近く、当時から大津港はありましたが、大津港とは異なる港です。

その後、谷口、杉江、その他の者がそれぞれ、山田航路で船を運行していましたが、1876年、谷口と杉江が提携します。そして、1886年には2人が中心となって湖南汽船を設立(のちに、太古汽船と合併し、今の琵琶湖汽船になる)。

琵琶湖を横断するため、地元の人々のみならず、多くの人々が利用しました。

少し脱線
このころ、関西鉄道、今の草津線が、草津から山田港近くまで、鉄道を伸ばすという計画があったのですが、費用の観点からその計画は無くなりました。

その後、1889年には、東海道線が全通します。大津-草津間は、電車で行けるようになります。この影響で、確かに、利用者は減ったと思われますが、電車の運賃が高かったので依然として山田航路の需要はありました。

そして、戦中・戦後も山田航路は残り続けましたが、モータリゼーション化の影響もあり1968年にこの航路は廃止されました。

少し脱線
山田航路が開通する前は、矢橋-石場を結ぶ石場航路で琵琶湖を横断する船が運行されていました。しかし、山田・紺屋関ともに、それぞれ、草津の中心部・大津の中心部に近かったので、多くの人々は山田航路を利用しました。そんなこともあって、江戸時代には大いに栄えた矢橋航路はやがて衰退していくのです。

矢橋・石場の歴史や現在の様子は、以下の記事で詳しく述べています。

参考記事:「「急がば回れ」の語源・由来は滋賀県・琵琶湖にあり」(内部リンク)

現在の様子

杉江善右衛門の記念碑

さて、山田港の現在の様子を見ていきます。今は、山田港跡として、わずかに痕跡が残っている程度です。しかし、こんなところに港があったのかと思うほど、静かな感じがしました。

山田港の痕跡として上に示した記念碑をあげることができます。これは、杉江善右衛門の顕彰碑です。琵琶湖汽船有志という文字が書かれていましたので、琵琶湖汽船がきれいに整備したものと思われます。

山田港跡

上の写真が、当時、山田港があった場所です。川が流れていることがわかりますが、この川のような場所を船が通っていたのです。上の地図に、山田港跡が少し内陸の場所にある所以は、そういうことなのです。

山田港跡

しかし、今は、普通の川といった印象を抱きます。もはや、この地に港があったとは思えないほどです。人通りもほとんどないので、非常に静かな場所でした。

今は、この川みたいな場所を船が通ることはできないと思います。といいますのも、当時より、水位が非常に下がっているからです。実は、水位低下にともない、山田港が琵琶湖に近い場所に移転されたという歴史もあります。

山田港跡(琵琶湖近く)

湖岸道路より、山田港があった場所に向かって撮影しました。湖岸道路ができたのは比較的最近のことなので、もしかしたら、水位低下にともなう、山田港の移転先は、このあたりだったのかもしれません(遺構などが残っておらず、正確な場所はわからなかった)。

山田地域の港は、今は北山田港

北山田港

山田港の名残はほとんど感じられませんでしたが、現在の草津市山田地域における港といえば、北山田港でしょう。北山田港は、比較的最近につくられています。

漁船が何台も止まっていることが確認できました。北山田港は、漁港として機能しているものと思われます。

最後に

山田港跡の石積み
山田港跡近くにあった石積み(遺構かどうかは不明)

近代には、琵琶湖を横断するために、非常ににぎわったと思われる山田港。港近くには、旅館がいくつかあったようです。しかし、現在は、本当にこの地に港があったのかと思うほど、静かでした。

山田港に興味のある方は、当時の様子を想像しながら、訪問してみてください。

  • この記事を書いた人

未だ定まらざる

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