ラジオ体操関連

ラジオ体操の著作権はどうなっている?配信は大丈夫?

花と楽譜

ラジオ体操愛好家の当ブログ管理人、今回は、ラジオ体操(とみんなの体操)の著作権について考えます。地域のラジオ体操会でラジオ体操の音源を使っても大丈夫かどうかやインターネットでラジオ体操を配信しても大丈夫かどうか、といった具体例も取り上げます。

※当記事の一部は、かんぽ生命の「楽曲等の使用について」のページを参照しています。

ラジオ体操の著作権はどこが管理しているのか

音符

楽曲の著作権は、JASRAC(日本音楽著作権協会)が管理しているというイメージが強いと思います。

しかし、ラジオ体操は、JASRAC以外の団体も所有している部分もあり、かなり管理です。管理している団体により、著作権の扱いも異なりますので、まずは、それぞれの著作権はどこが管理しているのか把握しておきましょう。

現在放送されている体操等

まずは、おなじみの、現在放送されているものから見ていきます。

体操の種類著作権を管理している機関
ラジオ体操第1かんぽ生命
ラジオ体操第2放送に関することはかんぽ生命とNHK。その他は、JASRAC。
みんなの体操JASRAC
ラジオ体操の歌JASRAC

かんぽ生命が著作権を管理していることに疑問を感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、歴史的に最初にラジオ体操の策定をしたのは旧逓信省簡易保険局です。これが引き継がれて、今に、至っていると考えることができます。

かんぽ生命は、ラジオ体操を普及している組織の一つです。

過去に放送されていた体操等

今は放送されていない体操も著作権が切れていない場合があります。戦前に放送されていたものもあります。

体操の種類著作権を管理している機関
初代ラジオ体操第1著作権切れ
2代目ラジオ体操第1著作権は切れていない
初代ラジオ体操第2一部著作権切れ
2代目ラジオ体操第2JASRAC
初代ラジオ体操第3著作権切れ
2代目ラジオ体操第3著作権切れ
初代ラジオ体操の歌JASRAC(一部)
2代目ラジオ体操の歌JASRAC(一部)

過去に放送されていた体操などにも著作権がまだ残っていることに驚かれた方が多いかと思います。

ラジオ体操第3(1代目・2代目)は、実は、著作権がきれています。ラジオ体操第3が流行った理由は、こうしたことも要因にあるかと思います(著作権がきれていたら普及がしやすい)。

※著作権は、作詞者・作曲者が亡くなってから70年間保護されます。ただし、2018年までは著作権の保護が50年だったので、70年がたっていない楽曲も著作権が切れていることもあります。

※JASRACが著作権を管理している楽曲は、JASRACホームページより確認できます。ただ、JASRACのデータベースでは確認できないものの、著作権が残っている楽曲もあった。

※初代ラジオ体操第1は、歌詞付き・歌詞なしともに著作権が切れている。

※初代ラジオ体操第2は、伴奏曲が2曲あったといわれているが、「ホーエンフリートベルク行進曲」については著作権が切れている。堀内敬三作曲のものは著作権が残っている。

申請なしでどのくらい利用できるのか?

ラジオ体操をする5人の子供

ここからは、現在放送されている、体操などに限って見ていきます。すべて著作権の保護がなされていますが、どのくらいなら著作権を侵害せずに利用できるのか、すなわち、関係機関に申請をせずに利用できるのか、考えていきます。

法律で決まっていること

著作権法30条から50条では、著作権の制限について書かれています。すなわち、著作物を自由に使える場合等について記されています。

ただ、著作物といっても音楽だけではありません。そこで、ここでは、とりわけ、音楽(ラジオ体操)に関連にありそうな事項について述べます。


①私的使用のための複製(著作権法30条)
自分や家族といった範囲内で利用するために、音楽をコピー・複製することは問題ありません。私的利用ならOKなのです。コピー・複製の方法についても条件がありますが、一般人が普通にやっていたら基本的には抵触しません。

例えば…
〇PCの音楽再生機能を用いてラジオ体操を一人で実践するために、CDのデータをコピーすること。


②営利を目的としない上演等(著作権法38条)
営利を目的としなければ音楽の再生等はOKです。ただし、上演団体や実演家にお金が払われることもあってはなりません。

例えば…
〇ラジオ体操指導士の個人が、無料でラジオ体操の講習会を開くために、音源としてラジオ体操を再生すること。

〇地域のラジオ体操会で、ラジオ体操の音楽を再生すること。

その他、著作権法に様々なことが定められていますが、著作権法の制限を超越して楽曲等を利用する場合は、著作権を管理している団体に申請や使用料の支払いが必要になってきます。

かんぽ生命が決めていること

また、著作権法に関わらずかんぽ生命が独自で決めている条件があります。かんぽ生命ホームページより引用します。

著作権法に関わらず、当社で定めた下記項目に該当する場合は、申請の必要はありません。

・自治体が主催するイベントで使用する場合

・スポーツイベント等で参加者の準備運動として使用する場合

・職場において従業員の健康増進を目的として始業前や昼休みなどに使用する場合

・個人が動画投稿サイトへラジオ体操第一を行っている動画をアップロードする場合

かんぽ生命ホームページより

文脈からして、ラジオ体操第1、第2、みんなの体操、ラジオ体操の歌が、適用されると思われます(動画アップロードは第1体操のみ)。

以上の点は著作権法を気にしなくてもよいので、営利でも可能なことがあるのです。


したがって、ラジオ体操の楽曲利用は、他の楽曲と比べると、少しばかり緩いということになります。とはいえ、著作権が無くなるわけでは決してないので、誤解のないようにお願いします。

【事例】ネット上でラジオ体操の配信をしてもよいのか

吹き出し

ここで、1つの事例について考えたいと思います。すなわち、「ネット上でラジオ体操の配信をしてもよいのか」ということです。

YouTubeやそのほかのサービスでの(ライブ)配信で、ラジオ体操を配信することはOKなのかということについて考えていきます。

ここでは、ラジオ体操第1ラジオ体操第2+みんなの体操とそれぞれ分けて考えていきます。

ラジオ体操第1

まずは、ラジオ体操第1についてです。

ラジオ体操第1は、かんぽ生命が著作権を管理しています。

上で紹介した、かんぽ生命の独自ルールで、著作権法に関わらず個人が動画投稿サイトへラジオ体操第一を行っている動画をアップロードする場合」は申請の必要がないとあります。したがって、特に申請する必要はないと、私は認識しています。

ただし、正しいラジオ体操の普及を阻むようなものは、だめです。

ラジオ体操第2+みんなの体操

次に、ラジオ体操第2とみんなの体操です。なお、ラジオ体操の歌も当てはまります

ラジオ体操第2とみんなの体操については、JASRACが著作権を管理しています。

動画投稿サイトで配信を行う際、本来ならばJASRACに申請し、使用料を払わなければなりません。

しかし、YouTubeなど多くの(動画投稿)サイト運営会社とJASRACとは許諾契約を結んでいます許諾契約を結んでいるサービスで配信を行う場合は、使用料を払わなくても大丈夫です。

ただし、その場合でも条件があるのです。

まず、音源についてです。ラジオ体操の音源は、自分で演奏したものを流すのが基本です。といいますのも、CDやレコードの音源を利用する場合、著作隣接権(原盤権)の問題が発生してきます。すなわち、音源の制作会社に許可を取らなければならないのです。もちろん、音源の制作会社に許可を取れるなら、自分で演奏したものでなくても可能です。

また、ラジオ体操第2・みんなの体操の音楽で、何かの広告を作るという場合は、JASRACに申請する必要があります(リアルタイム配信のみを行う場合は関係ない)。

単にラジオ体操をJASRACと許諾契約を結んでいるサービスで配信するだけの目的ならば、著作隣接権さえクリアしたら、申請無しで配信をすることができます。

ただし、こちらも、私からのお願いですが、悪ふざけで体操を行うなど、正しいラジオ体操の普及を妨げるような行為はおやめください。

※第2体操の放送に関する著作権は、かんぽ生命とNHKが管理しています。第2体操において放送に関わる場合は、上記2団体から許可を取る必要があります。

必要な場合は申請を

ひらめき

著作権については、大変ややこしいのですが、必要の場合はしっかりと申請をしてください

ラジオ体操第1の楽曲利用の申請は、かんぽ生命にお願いします。かんぽ生命ホームページにて、申請用紙をダウンロードできます。ただ、かんぽ生命は楽曲利用料を取っていないので、その点は、ご安心ください。

ラジオ体操第2とみんなの体操、ラジオ体操の歌は、JASRACにお願いします。ただ、JASRACからは楽曲利用料を取られますので、その点は、ご留意ください。

  • この記事を書いた人

undecided

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