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近江国庁跡を探索してきた。公園の如く広大だった。

近江国庁跡の説明板

大津市の東部、瀬田という町に、近江国庁跡があります。私もあまりじっくり見たことがなかったので、実際に行って、探索してきました。訪れて最初に思ったことは、周りは住宅街なのに、この地だけ公園の如く「広い」ということ。当記事では、近江国庁跡の重要性や実際に行って感じたこと、アクセスなどを述べることにします。

国庁・国衙・国府とは

まずは、基本的な事柄から確認しておきます。

奈良時代から10世紀ごろにかけて(最盛期は8世紀ごろ)、日本では律令制という中央集権的な政治体制でした。その中で、地方統治を担ったのが、国庁・国衙・国府だったわけなのです。

実は、国庁・国衙・国府の明確な区分があいまいなところがありますが、ここでは、一般的に言われていることを述べます。まず、国衙は実務等(徴税・裁判・軍事等)を行う役所群のことです。国から派遣された国司が、実務の中心を担っていました。国衙の中でも、儀礼や政務の中心となったのが国庁になります。そして、国府は国衙を中心とした市街地のことと考えてよいと思います。

なお、私の手元にある日本史の教科書を見ていたら、国衙と国府を同一視しておりましたので、前述しましたが、やはり、区分はあいまいといってよいかと思います。

近江国衙跡石碑

上の石碑を見てください。「近江国衙跡」と書かれています。我々地元民は、一般的に、この地を「近江国庁跡」と言いますが、ベン図で説明すると、国庁は国衙に包摂されていますので、「近江国庁跡」でも「近江国衙跡」どちらも誤りではないのです。

近江国府の推定値

上の写真は、「近江国府」の推定域を示しています。今や近代的な住宅地になっている場所も、当時は、「近江国府」の一部だったのですね。

そして、注目してほしいのが、「近江国府」の中に、「近江国庁(跡)」があることです。

いろいろとややこしいことを述べましたが、国衙・国府・国庁の違いを理解していただけたでしょうか。区分があいまいなところもありますが、あまり気にしなくてよいでしょう。

近江国庁の特徴

近江国庁跡説明板

近江国庁跡に設置されている看板に記されていますが、「近江国庁は日本で初めて、古代の地方政治の中心地である国庁の全容が明らかになった遺跡です」。国の史跡に指定されています。

では、各所をもう少し詳しく見ていきます。

近江国庁東側

近江国庁東側説明板

まずは、近江国庁の東側です。詳しくは、上の説明板を参照してください。

近江国庁築地塀

説明板に書かれている築地塀については、ほんの一部が復元されています。当時は、東側一帯が、築地塀に囲まれていたということになります。

近江国庁東側木製基壇

近江国庁東側の中心的な建物が木製基壇(上写真の囲い)の上に建てられていたのです。当時にしては、珍しい工法だったのです。

近江国庁西側

次に、近江国庁西側です。掘立柱建物が一部復元されています。ここの堀立式建物は、かなりの規模だったということです。

近江国庁中心部

近江国庁中心部は、様々な政務をすべく、様々な建物が建てられていたようです。

近江国庁北西側

最後に、近江国庁の北西側です。数棟の堀立柱建物が検出されたということです。

公園の如く広大!

周りには、一戸建て住宅や団地アパートが存在しますが、この地(近江国庁跡)は非常に広大です。非常に開けています。あたかも、芝生公園のようです。

そして、この地は、高い場所にあります。現在は、住宅等により、低地(瀬田川など)をあまり見渡すことができませんが、おそらく、近江国庁が存在した時は、非常に見晴らしがよかったのでしょう。

ただ、この地で思いっきり遊ぶことは、似つかわしくありません。何といっても、史跡なのですから。椅子や休憩所がありますので、休憩するくらいは可能です。

アクセス・駐車場など

駐車場らしき場所はありませんでした(車が止まっている場所はありましたが、おそらく私有地です)。それ故、自家用車での来訪はできないと考えたほうがよいでしょう。

したがって、来訪手段は徒歩か自転車ということになります。JR瀬田駅から徒歩25分ほどで近江国庁に行くことができます。ルートも複雑ではありませんのでご安心ください。ただ、1点だけわかりにくいところがありますので、紹介しておきます。その分かりにくい場所は、近江国庁近くです。

近江国庁跡への看板

近江国庁の近くには、上のような看板あります。ここを直進すると、突き当りになりますので、そこを右折、そして1つ目を左折すると、広大な近江国庁跡が見えてきます。この際、道が急に狭くなると同時に勾配が大きくなり、心配になるかもしれませんが、気にする必要はありません(これが道のわかりにくい所以)。また、旧東海道から比較的近い場所にありますので、旧東海道を歩かれる方は、一度、足を運んでみるのも良いかもしれません

  • この記事を書いた人

未だ定まらざる

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