米原駅の近くには、米原市役所、運転免許センターやパスポートセンター、コンサートホール(文産会館)などの公共施設があります。
そのため、米原駅を、時々、利用する滋賀県民も、中には、いらっしゃるでしょう。
しかしながら、米原駅を利用するほとんどの人は乗り換えのためでしょう。そのためか、米原駅周辺は、静寂としていて、東口には大きな空き地が広がっている場所もあります。
今回は、その空き地についてです。滋賀県にお住いの方ならばご存じの方も多いと思いますが、「米原駅東口まちづくり事業」として、いよいよ、米原駅東口の空き地が開発されます。
動画でも解説しています
米原駅東口周辺の様子
米原駅東口には、デッキがあり、高いところから周辺を見渡せます。
東口からデッキを通じて直結をしているのが、米原市役所の本庁舎です。本庁舎がある場所も、もともとは、空き地でしたが、2021年5月に開庁しました。
引き続き、駅デッキから南側を望んでいますが、広大な空き地を確認することができます。
その場所こそが、これから、「米原駅東口まちづくり事業」の一環として開発されていく場所となります。
滋賀県と米原市は、約2.8ヘクタールの県有地・私有地を、民間活力を導入して開発をするため、この地を開発・活用しようとする事業者を公募した結果、2024年・令和6年6月、湖北工業株式会社を代表法人とする法人グループを選定しました。
そもそも、なぜ、こうした広大な空き地が、新幹線駅・米原駅前にあるのでしょうか。
20年以上放置された鉄道用地跡
米原駅の東口周辺に広大な空き地がある理由は、かつて、この地が鉄道用地であったからです。
上に示しましたのは、1982年9月に撮影された空中写真です。当時は、米原駅東口を出ると、すぐに、米原(まいはら)地区の集落があったことがわかります。
すなわち、今よりも、米原駅のホームが東側にあったり、多くの留置線があったりしたということになります。
しかし、1987年・昭和62年の国鉄民営化以降、鉄道施設の合理化のため、駅ならびにその周辺の鉄道施設の解体や撤去が行われていくこととなりました。
そして、1998年(平成10年)9月、JRの在来線ホームが東海道新幹線のホームに近接する形で、西側に移設されました。
そのために、東口から国道8号の間に、鉄道用地の跡地が空き地として残ってしまったわけです。
確かに、駅東口の南側では、鉄道総研やヤンマーの建設所が建設されていくわけですが、肝心の駅前と米原地区の集落の間が空き地として残ってしまい、新幹線駅・米原駅が何とも寂しい状況となってしまったわけです。
その後、米原駅東口における鉄道用地の跡地をどのように利活用するか検討され、2001年(平成13年)より、米原駅東部土地区画整理事業がスタート。鉄道用地跡も公有地となりました。
滋賀県と米原市が連携して、米原駅東口周辺の開発について検討し、プロポーザルを実施するなどしてきましたが、不況や県と市の足並みの乱れの影響もあり、なかなか、開発が進みませんでした。
2001年から開発を進めようとしてきましたが、結局、20年以上にわたって、鉄道用地跡が空き地となっているということになります。
そうして中で、米原市は、市役所の庁舎を米原駅前に移転をして、駅東口のにぎわい創出にもつなげようとして、実際に、2021年5月、米原市役所の本庁舎が開庁しました。
これに伴い、駅東口周辺も、だいぶ明るくなってきた印象を、個人的には抱いております。
そして、その後、残りの鉄道用地跡の県有地ならびに市有地も米原駅東口まちづくり事業の一環として開発して、利活用を進めていこうということで、プロポーザルを実施し、2024年・令和6年6月、湖北工業株式会社を代表法人とする法人グループを選定しました。
20年以上、空き地となっていた場所が、いよいよ、開発されていきます。
なお、当該地において、最も南側の区画については、別で開発が進もうとしていて、(新生)滋賀県東北部工業技術センターが建設される予定です。
米原駅東口まちづくり事業
それでは、「米原駅東口まちづくり事業」について、湖北工業を中心とした企業グループが提案した内容を簡単に確認しておきましょう。
事業コンセプトは 「湖畔の魅力と未来の拠点:米原イノベーション・ビレッジ」構想です。
製造業関連の施設を中心につくられていくということになります。
鉄道用地跡の空き地は、大きく5つのゾーンにわけて、開発がなされていくとのことです。
米原駅に近い方から、
- イノベーションゾーン・ソフトウェア開発施設R&Dセンター(日本ソフト開発株式会社が担当)
- リビングゾーン、分譲マンション(株式会社マリモが担当)
- ライフスタイルゾーン 商業施設(株式会社ハヤシが担当)
- クオリティーゾーン 本社オフィス・ショールーム(株式会社ナンガが担当)
- グローバルビジネスゾーン 研究施設・デバイス試作・製造施設(代表企業の湖北工業株式会社が担当)
と、以上の5つの施設が開発されていきます。
とりわけ、グローバルビジネスゾーンについては、すぐ横に隣接する滋賀県東北部工業技術センターとの親和性がかなり高いように感じます。
構成企業の多くは、滋賀県東北部を代表する企業です。応援をしたいと思います。
最後に、アクセス
この地は、新幹線駅である米原駅が近いことから鉄道でのアクセスもよいですし、国道8号が通っておりますので車でのアクセスも良い場所です。
この区画は少し広いですが、米原駅からこの区画の最も南側の場所(県東北部工業技術センター建設地)まででも、徒歩で7分ほどで行けます。
米原駅の立地の良さが十分に活かされることを期待したいと思います。
最後に、新幹線駅・終着駅の米原駅ですが、所詮、乗換駅です。乗客が下りなければ、駅周辺は発展するはずがありません。
そのような意味で、「米原駅東口まちづくり事業」が成功すると、米原駅を降りる人が増えることから、駅周辺のにぎわい創出にもつながるでしょう。期待をしたいと思います。